田中希実が世界陸上も3種目出場 異例の“三刀流”に元陸連幹部「入賞狙いは無謀」と苦言

公開日: 更新日:

「三兎を追う者は……」にならないのか。

 日本陸連は7日、オレゴン世界陸上(7月15日開幕、米国)の新たな出場選手を発表し、女子800メートルの田中希実(22)らが追加された。田中は既に1500、5000メートルの代表に決まっており、トラック中長距離で3種目に出場するのは異例の挑戦となる。

 田中は先月の日本選手権でも先の3種目にエントリー。1500と5000メートルの2冠を達成したが、最終日は800メートル決勝(2位)を走ってから約70分後に5000メートル決勝に出場し、参加標準記録(15分10秒00)を上回る15分05秒61で圧勝した。

 日本選手権の800と1500メートルは予選と決勝の2レースだった。世界陸上は準決勝がある。可能性は低いものの、3種目とも決勝へ進めば10日間のうち8本のレースを走ることになる。

「挑戦する意欲を全面否定する気はないですが」と、元陸連強化委員長の澤木啓祐氏がこう語る。

「田中は東京五輪で8位入賞の1500メートルがメインで、そのスピードやスタミナ強化のために800と5000メートルを走っているのではないのか。それとも1500と5000メートルの強化のために800メートルに取り組んでいるのか。いずれにしても、国内大会なら3種目出場も分かりますが、世界陸上の3種目で、いずれも入賞を狙うというのは無謀だ。トラックでは5000と1万メートルの2種目に出る選手はいるし、現役時代は私もそうだった。田中は東京五輪でも1500と5000メートルに出場し、5000メートルの予選は全体16番目で惜しくも決勝へ進めなかった。ならば、1500と5000メートルの2本に絞るべき。そもそも3種目の代表に選出した陸連の考えも分かりませんが、予選通過も厳しい800メートルについては、主目的レースの調整として予選に出るというなら理解します」

 身体への負担も大きい。無謀か、2024年パリ五輪へ向けての新たな挑戦かは、結果次第だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは