ビーチサッカー日本代表は中国に6-1逆転勝利! 国旗ポールが倒れる試合前の“悪夢”払拭

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 タイ・パタヤで開催されている「AFCビーチサッカーアジアカップタイ2023」に参戦中のビーチサッカー日本代表は、19日に行われたグループリーグC組の第2戦で中国代表と対戦し、6-1で逆転勝利を収めた。

 現地午後6時30分キックオフの前、試合会場で日本にとって「不吉」な出来事があった。今回の試合会場は、国際的にも有名な海水浴場地「ジョムティエン・ビーチ」の海辺に建てられた特設スタジアム。

 海側にはスタンドがなく、大会参加16カ国の国旗と主催者のAFCの旗が立てられ、海からの強い風にバタバタと煽られている。その中で日本の国旗が掲げられたポールだけが倒れてしまい、関係者がキックオフまでに間に合わせようと必死になって修復作業を行っていた。何とかギリギリで間に合ったが、試合が始まると「不吉な予感」がピタリと的中した。

 第1ピリオド(P)が始まって早々、大黒柱の茂怜羅オズとマッチアップしていた相手選手が小競り合いとなり、この2人にイエローカードが出された。

 そして0-0のスコアで迎えた6分である。今大会が代表公式戦デビューとなったGK柴本慎也が、ハーフライン辺りで相手選手を軽い身のこなしでかわし、そこから右足で強烈シュート! ここまでは、柴本選手の持ち味が存分に発揮されたシーンだった。

 ところがボールがブロックに入った選手の左ひざに当たり、それこそシュート性のスピードのボールが、あっという間に日本ゴールに吸い込まれてしまったのである。

 スタンドで観戦していた地元タイ人のサッカーファンが「タイにも<縁起が悪い><不吉な予感>に相当する意味合いの言葉がある。やはり試合前に国旗が倒れたのは良くないね」と話していたものだが……。

珍しいパターンの失点シーンにも揺らがず…

 アンラッキー過ぎる失点とはいえ、この悪い流れを払拭したのが、チーム最年長の37歳ピヴォ(FW)である山内悠誠である。百戦錬磨の山内は、中国戦を前に「ある予感」について考えていた。

「中国は強くない相手だが、決して弱いというわけでもない。こちらが何度攻めても守られ、先制されるという可能性もある──ということを想定して試合に臨みました」

 格下相手に先制されることも視野に入れていた分、山内は珍しいパターンの失点シーンを目の当たりにしながら、気持ちが揺らぐことはなかった。失点の2分後。右サイドで大場崇晃選手が、相手ゴールに背を向けた状態でリフティングを始めた。その瞬間、山内は「オーバーヘッドを放って確実にボールをゴール枠内に入れてくる」と確信。その時点で動き出しを開始した。

 大場のオーバーヘッドシュートを相手GKがキャッチし損ね、詰めていた山内の前に転がった。GKがボールを抱え込む前に山内は左足を伸ばし、きっちりとゴールに流し込んだ。

 この同点弾に救われた格好のGK柴本も、タフなメンタリティーをプレーで実証して見せた。約30秒後、両サイドのアラ(MF)とパス交換しながら前進し、リフティングしながらハーフラインを越えたところで強烈右足ボレーシュート。これがゴール左にズバッと決まり、この時点で「国旗のポールが倒れた悪夢」は、キレイさっぱりと雲散霧消したと言っていいだろう。

 その後も日本はゴールを積み重ね、修了間際には追加招集で大会開幕前日(15日)にタイ入りしたチーム最年少24歳・伊藤龍之介の代表初ゴールが決まり、日本ベンチ前でチーム全員が伊藤を取り囲み、頭をバシバシ叩きながら笑顔で祝福。終わってみれば6-1で日本の完勝劇となった。

 日本代表は21日に第3戦・レバノン戦に臨む。キックオフは、日本時間の午後8時30分である。

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