山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

作家・山田隆道さん「なぜ岡田監督は前任時代よりよく動くのか」を考えた

公開日: 更新日:

頑固でブレない采配から一転、主力であっても二軍落ち、捕手も使い分け…

 思えば第1次岡田監督時代(2004~08年)は4番・金本知憲を筆頭に今岡誠や赤星憲広、矢野燿大鳥谷敬らの主力選手の徹底したスタメン固定と、JFKに代表される判で押したような継投パターンが特徴的で、岡田監督といえば頑固でブレない采配と周知されていた。

 しかし、今季の岡田監督はちがう。主力であっても不振が続けば二軍降格させ、疲れが見える投手はローテを外して休養を与える。捕手も梅野隆太郎坂本誠志郎を使い分け、ドラ1・森下翔太や新外国人にこだわることもなく、売り出し中の前川右京も固定には至っていない。実に臨機応変な采配を展開しており、以前と大きく変わったように感じる。

 ただし、これは表層的であって、本質的にはあまり変わっていないのではないか。岡田監督は自著のなかで「保有戦力に合わせたマイナス思考の采配」といった趣旨の監督論をしばしば語っている。これに照らして考えると、第1次監督時代は03年にリーグ優勝した戦力、「成熟したチーム」を率いていたからこそ、小細工しない采配、不動の戦略を貫いていただけで、現在は若手主体の発展途上の戦力だからこそ、臨機応変な采配や選手起用を見せている、とも解釈できるわけだ。

 要するに、今季の岡田監督がよく動くのは采配方針が変わったのではなく、保有戦力が変わったからに他ならない。発展途上の戦力を実戦のなかで育成・整備しながら白星を拾っていく。主力の不振や離脱もマイナス思考の範囲内。あらゆる引き出しを駆使してやりくりしながら、いつか戦力が整備されることを目指しているのではないか。

 岡田監督が見据える勝負どころは後半戦。いや、来年かもしれない。采配のタクトが動かなくなったときが見ものである。

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