灼熱「夏の甲子園」主催の高野連と朝日新聞社を直撃!球児の“命の危険”をどう受け止めている

公開日: 更新日:

 最高気温37度の酷暑下で行われた去る13日の夏の甲子園ドラフト1位候補の佐々木麟太郎(3年)が出場した花巻東とクラーク国際との試合では、電光掲示板にデカデカと「119番通報は最寄りの係員に!!」と告知が出た。

 炎天下のグラウンドでは熱中症の疑いで足がつる選手が続出。途中交代を余儀なくされる球児もいる。アルプススタンドの応援団も日々、直射日光を浴びながら酷暑と闘っている。

上原浩治氏も苦言

 そんな夏の甲子園を巡って、専門家やファンから反発の声がやまない。巨人、大リーグでプレーした上原浩治氏は、ヤフーのニュースサイトでこう訴えた。

<高校球児、未来の高校生たちに問いかけたい。
 夏の全国大会かの球場は「甲子園」が絶対なのか。例えば「東京ドーム」だと嫌なのか。あるいは、甲子園で開催するとして、「夏の」という枕詞は絶対なのか。もう少し涼しくなってからの「秋の甲子園」では嫌なのか>(原文ママ)

 ネット上では、「命に関わる。命を落としてからでは遅い」と球児の身を案じる声があれば、試合を中継するNHKに対し、「熱中症の危険をあおりながら感動を押し付けるのは矛盾だ」と、批判的な意見もある。

■クーリングタイム直後に熱中症疑い

 高野連が今大会から導入した五回終了時のクーリングタイムにも、現場を中心に多くの注文が出ている。

 球児や監督、裏方は五回終了後の10分間、エアコンが効いて冷凍庫や送風機が置かれたベンチ裏の通路で火照った体を冷やし、スポーツドリンクなどで水分補給しているのだが、このクーリングタイム直後の六回に足をつる選手が続出。花巻東の佐々木監督が「濡れたユニホームに冷たいもの(風など)が当たって、そのまま体が冷える感じがした。足がだるくなると感じた」と話せば、広陵の中井監督も「今日(8月11日)は気温が38度ぐらいある。後ろの部屋は27度くらいに設定されて、そこにいすぎると、また(グラウンドに)戻ると体がフワーッとしすぎる。いる時間を考えて、とは言いました」と話した。

 プロ野球OBのギャオス内藤氏(評論家)は、「10分間はむしろ長いように思います」と、こう続ける。

「汗をかいたまま冷風に当たると、むしろ体が冷えて、筋肉が固まってしまいます。クーリングタイム直後に足をつる球児がたくさんいるのも納得です。むしろ、攻守交代時に着替えの時間をつくるのも手ではないか。僕は現役時代、九回完投するのに6、7枚、アンダーシャツを着替えていました。汗を吸ったシャツを着ていると体が重く感じるし、体温調節もうまくいかない。上着を着替えるだけで、気分もスッキリし、疲労感を感じにくくなると思う。僕らの時代は『着替えをしない選手は有名になれない』と言われ、今でも『アンダーシャツが足りない! ヤバい!』なんて夢を見るくらい。僕は、着替えの重要性を訴えたいですね」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  5. 5

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  1. 6

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  5. 10

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ