町田ゼルビア黒田剛監督の「原点」は30年前の1本の電話…プロ1年目でクラブ初のJ1昇格に導く

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24歳で青森山田高サッカー部のコーチに

 北海道・札幌市出身の黒田監督は登別大谷高から大阪体育大に進み、1993年に卒業した後は北海道に戻ってホテルマンをやったり、ガソリンスタンドで働きながらツテを頼って「高校サッカー部のコーチ見習いでも構いません。サッカーに携わって生きていきたい」と就職活動を続けた。

 そんな黒田監督の元に、1993年の年の瀬、東北出身の元日本代表選手から電話がかかってきた。

「ヤル気があるならすぐに青森に来い。コーチをやってもらう」

 電話の主は隣県・秋田商高から三菱(現浦和)で活躍して当時、青森山田高のサッカー部監督を務めていた元日本代表主将のGK田口光久氏(故人)だった。

「24歳で青森山田高サッカー部のコーチに就いた黒田さんにとって、今となってはラッキーと言うしかないが、赴任翌年の1994年に田口監督と年長のコーチが、滋賀の専門学校サッカー部に引き抜かれてしまい、青森に引っ越して2年目にして監督の重責を担うことになった。当初は『いきなり後はオマエに任せた! 好きにしろ! と言わんばかりに放り出すなんて無責任過ぎる!』と田口監督に対してネガティブな感情もあったはずだが、黒田さんというのは、窮地に追い込まれても愚痴を並べ立てるタイプではなく、すべてを『この難局を切り抜けたら自分自身のキャリアアップに繋がる』と前向きに捉えて一生懸命になれるキャラクター。青森山田高を率いて28年間で高校選手権に26回出場し3回優勝、インターハイなど全国大会4回優勝という金字塔を打ち立てる原動力となった。図らずも若くして監督のキャリアがスタートしたのことが、今の黒田監督の成功に繋がったと言っていいでしょう」(サッカー関係者)

 町田のJ1昇格には、金明輝ヘッドコーチ(42歳)の手腕も見逃せない。

 2019年からJ1鳥栖の監督を務めていた金コーチは、2021年12月に熱血指導がパワーハラスメントと認定されて解任された。それでも「パワハラ認定は残念だったが、もともと人柄の良さや指導力には定評があり、町田が黒田監督の補佐係として招聘した。攻守の全体的なデザインを黒田監督が描き、チーム戦術の細かい部分などは金コーチが担当するという二頭体制も、町田の躍進をがっちりと支えた」(同)

 町田の社長兼CEOを務めるサイバーエージェントの藤田晋社長が熊本戦後、黒田監督の来シーズンの続投について「当然でしょう」とコメントした。

 J1でも黒田マジックが炸裂するか?

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