「高校3年生に負けたのが悔しくて」と寺尾…屈辱の黒星で始まった貴乃花との因縁

公開日: 更新日:

「隠れシンパ」がついに公然と貴乃花一門合流かと見る向きが多かったが、「自由に意見を言える立場にいたい。協会のルールの中で協会が良くなるように」と語った「ルールの中」にこそ、重い意味があった。

 改革の必要性は痛感しながらも、貴乃花親方の手段や言動に疑問を抱き、「改革」の旗の背後にあるものに気づいて、むしろ距離を置く意思表示だった。これが年明けの理事選挙での貴乃花親方落選から協会退職へ突っ走る流れの起点になる。

 錣山親方はその後、「本籍」とは遠い二所ノ関一門に置かれ、もっぱら弟子の育成に努めて阿炎が優勝力士になる。相撲協会が今のままでいいとは思っていなかったはずだが、近年は病との闘いが先でもあった。

 初顔では終始離れて取って貴花田が勝ち、翌場所は立ってすぐ四つになって寺尾が勝った。本来の取り口と正反対の勝負。組んで離れて、どう転がるか分からない2人の相撲人生を暗示するかのような縁の始まりだった。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」