「高校3年生に負けたのが悔しくて」と寺尾…屈辱の黒星で始まった貴乃花との因縁

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「隠れシンパ」がついに公然と貴乃花一門合流かと見る向きが多かったが、「自由に意見を言える立場にいたい。協会のルールの中で協会が良くなるように」と語った「ルールの中」にこそ、重い意味があった。

 改革の必要性は痛感しながらも、貴乃花親方の手段や言動に疑問を抱き、「改革」の旗の背後にあるものに気づいて、むしろ距離を置く意思表示だった。これが年明けの理事選挙での貴乃花親方落選から協会退職へ突っ走る流れの起点になる。

 錣山親方はその後、「本籍」とは遠い二所ノ関一門に置かれ、もっぱら弟子の育成に努めて阿炎が優勝力士になる。相撲協会が今のままでいいとは思っていなかったはずだが、近年は病との闘いが先でもあった。

 初顔では終始離れて取って貴花田が勝ち、翌場所は立ってすぐ四つになって寺尾が勝った。本来の取り口と正反対の勝負。組んで離れて、どう転がるか分からない2人の相撲人生を暗示するかのような縁の始まりだった。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

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