著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

テイラー・スウィフトに大リーグ…その価値と市場を維持するための米大統領選

公開日: 更新日:

 こうした疑念はスウィフトにとって看過できないものであった。そのため、人々の関心が高まる討論会に合わせて立場を明らかにすることで、自らの価値を維持したのである。

 もちろん、スポーツ選手も米国においては社会の規範的な存在として、しばしば政治問題に関わる。だが、今回の大統領選挙に関する限り、スウィフトのようにその行動や判断が大きく取り上げられることはない。

 しかも、大リーグは機構や経営陣の多くが共和党を支持しつつ、民主党にも献金をするなど、どちらが政権党となってもよいように、政界と適度な距離を保ち続けている。

 また、選手の間では民主党の支持が根強く、これまでにもハリスが選手会の存在を重視する発言を行っている。

 これは、労使間での支持政党が異なる米国企業の状況と重なる光景だ。

 大リーグの政治への対応は、スウィフトとは異なる態度であるとはいえ、100億ドルを超える市場を守るための現実的な政策に他ならないのである。

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