長嶋茂雄さんは 「○○○○付いてんのか!」と激怒するや、助っ人のバスタオルを引っぱがした
当時、長嶋監督は就任1年目。年齢も39歳と若く、血気さかんな年齢だった。引退した翌年で、現役でまだバリバリやれる自信もあったのだろう。よく後楽園球場で試合前、フロントに打撃投手をやらせてフリーバッティングをしていた。
「ジョンソンは一体、なにをやってんだ! オレが打った方がマシじゃないか!」
そんな気持ちが負け試合の悔しさも手伝って募り、思わぬ行動に出たのだ。
さすがにこんなことは二度となかった。長嶋監督も冷静になったとき、やりすぎたかな、と反省したのかも知れない。
今、振り返って考えてみると、あのとき、長嶋監督の言葉を訳せなくてかえってよかったのではないか、と思う。ジョンソンは○○○○の意味は知らなかったと思う。わざわざ教えたら事態はかえってややこしくなったかも知れないからである。
▽田沼一郎(たぬま・いちろう) 1950年3月19日、東京都出身。国際商科大(現東京国際大)で英語を専攻。卒業後、旅行代理店のハワイ、マイアミ支店に勤務。1975年から巨人で通訳、渉外担当を務める。今年10月末に退団。グラウンドの内外で公私にわたって歴代の巨人の外国人選手とその家族の面倒を見て、今でも多くの選手と親交が深い。
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当連載【プレイバック「私が見た長嶋茂雄」】は随時公開。関連記事も要チェックだ。