長嶋茂雄さんが鼻息荒げた1995年宮崎秋季キャンプは吐くほどキツかった
「どうした! まだまだ!」
時々どうしても捕れないゴロが飛んでくるが、それでも飛びつかないと、ノックは終わらないから無理して打球へダイブする。カゴには100球以上のボールが入っていたが、いったい何セットやったことか。1時間くらいはブッ通しでノックを受け続けた。休憩できるのはボールをカゴに戻すときだけ。終わったと同時に、グラウンドにへばりつくように倒れこむ。もちろん足はフラフラで動かない。吐いたこともあった。「もうホント、カンベンしてくれ!」と思いながら、これを連日やった。
こんなハードなキャンプは、巨人に入ってから初めてだった。95年は優勝を逃して3位に甘んじた。厳しいキャンプになる予感はあった。
でも、長嶋監督の意気込みは、ボクの想像していた以上のものだった。この年、ボクは長嶋監督から“ダイエット指令”を受けていた。ボクは酒は大好きだし、大食いだ。おまけに太りやすい体質だから、ちょっとでも気を抜くとどんどん体重が増えてしまう。おまけに、その年は成績がいまひとつ(4勝3敗11S、防御率4.07)で終わったこともあり、長嶋監督は減量によって活を入れようと考えたのだろう。