メークドラマ“胎動”の瞬間…スポーツ紙を片手に鼓舞する私に、長嶋さんは静かな笑みを浮かべて頷いた
私がそう伝えると監督は「その記事、読んでくれませんか」と言う。古葉さんといえば、広島で4度のリーグ優勝、3度の日本一を達成した名将。低迷する巨人についてこう書いていました。
「私は監督時代、巨人を脅威と感じていた。10ゲーム差をつけて首位を走っていても、9ゲーム差になっただけで、もう巨人が迫ってきたと焦ったものだ」
96年の広島は、就任3年目で優勝経験がない三村敏之監督。心情は推して知るべしではないか……。
そう考えた私は、記事を読み上げた後、鼓舞する気持ちでこう伝えた。
「あの古葉さんですら、常に巨人を恐れていたんです。今はなかなか波に乗れませんけど、連勝したらきっと流れが変わります。絶対に優勝を諦めないでください!」
監督は静かな笑みを浮かべながら、うんうんとうなずいていましたね。
そして、札幌・円山での広島との直接対決2連戦から、長嶋巨人の大逆襲が始まりました。