前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪
不祥事は明るみに出るまで見て見ぬフリ
そんな甲子園至上主義を助長しているのが全試合を生中継でタレ流すNHKと、甲子園大会を主催して新聞の拡販材料にしている朝日、毎日の両紙だ。戯作者の松崎菊也氏がこう言う。
「高校野球も変わりつつある。全員坊主頭をやめたり、サインを出さずに選手の自主性に任せるチームも中にはある。野球をみんなで楽しもう、という学校が増えてきた印象です。にもかかわらず、中継するNHK、春夏の主催者である毎日新聞、朝日新聞、そして高野連だけが何も変わっていない。彼らがクローズアップする高校球児らしさは50年前と同じ『汗と涙の青春』。練習が厳しいとか、恋愛禁止で高校生活のすべてを野球に注ぎ込んでいるとか、いまだに古くさい美徳とやらばかりです。それでいて今回のように、不祥事は明るみに出るまで見て見ぬフリ。結局、後から後から新情報が出るという、最悪なパターンになったのです」
広陵が出場辞退した翌11日発売の朝日新聞は運動面で、「見えづらい寮生活 改革のとき」と寮生活の改善を促す記事を掲載したものの、何をいまさらではないか。寮生活を「見えづらく」してきたのは、だれあろう甲子園至上主義をエスカレートさせた朝日新聞だろう。
■「米国では考えられない」
今回の騒動は海外メディアにも報じられているが、「米国では考えられない」と、米誌コラムニストのビリー・デービス氏はこう続ける。
「米国ではNCAA男子バスケットボールトーナメントという、大学バスケの全米チャンピオンを決める大会が甲子園に似た位置付けかもしれません。アマチュアの大会ながら、NBAより注目度は高いですから。けれども、そもそも真夏の炎天下で、熱中症の選手が出るまでやるわけではないし、トーナメントに出てくるような学校の指導者や上級生のいじめや暴力が問題になることもありません。手を上げただけで間違いなく裁判沙汰になりますし、法外な賠償金が発生するでしょうから」
いずれにせよ、「汗と涙の甲子園」を神聖化しているうちは、SNS全盛の現在、第2、第3の広陵が出るのは時間の問題だ。
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広陵といえば、卒業生で今秋ドラフトの注目選手が未成年への性犯罪を犯し逮捕され、球界内外に大きな波紋を広げている。いったい何が起きていたのか。
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