教え子2人、元巨人・清水隆行と元阪神・今岡真訪の「まさか」の関係
東洋大の守りで、打球が右中間に飛んだ。
「あの2人、ぶつかるんじゃねーか」
「危ない!」
ベンチからこんな声が上がった瞬間、中堅手の谷川明久と右翼手の清水が激突。吹き飛んだのは4年生で4番を打っていた谷川の方だった。
清水は足を打撲した谷川に代わって、次の試合から4番を務めた。
因果は巡るという。1年後、今度は清水がケガをして4番の座を追われた。開幕前日にマネジャーの運転する車が交通事故に。同乗していた清水は足のかかとを切り、春のシーズンをほぼ棒に振った。このとき清水に代わって4番を打ったのは新入生でのちに阪神に入団した今岡誠だ。
清水は1年後、またしてもケガをした。
3年生になる直前の3月、右手小指の付け根付近を骨折した。左打ちの強打者は、引き手のこの部分を痛めるケースが多い。
最初は骨折と気付かなかった。3月に関西へ遠征、日本生命とオープン戦をやった。清水はしきりに手首が痛いと訴えていたものの、代打ならいけるという。満塁のチャンスで打席に送ると、初球、チェンジアップを右翼場外に。特大の代打逆転満塁本塁打に、日生の投手は口をあんぐり、しまいには下を向いてしまった。