星野監督&張本勲さんからの助言に共通した「もっと自分を疑え」。だから俺は調子が良いときでも…
1996年5月1日、巨人のガルベスとの大立ち回りをして一躍話題になったものの、なかなかレギュラーに定着できなかった。
左打ちの愛甲猛さん(95年オフにロッテから無償トレードで移籍)との併用が続き、相手投手の左右や相性でスタメン落ちを味わった。
愛甲さんと、てんびんにかけられているような感覚が続いた。
そのてんびんが一気に動く瞬間が来た。5月21日、長良川球場(岐阜)での広島戦だった。愛甲さんが1打席目に本塁打。「しばらくベンチスタートだな」と落ち込んでいたら、急に大雨が降り始め、ノーゲームに。愛甲さんの一発は「幻」となった。
「もしかしてツイとるかもしれん」
ノーゲームが決まった瞬間、そう思った。野球はささいなことで流れが変わる。実際、愛甲さんはこの日を境に調子を落とし、俺がスタメンで出る機会が増えた。
6月は絶好調でプロ入り初の月間MVP(打率.403、13本塁打)を獲得した。なぜ調子が良かったのかは分からなかった。当時は感覚を頼りに、来た球を打つだけだった。