オリ1位・藤川敦也 山本由伸の恩師も太鼓判、最速153km右腕を女手ひとつで育てた「看護師」の母

公開日: 更新日:

「地道で面白みのないメニューもコツコツと」

「目まぐるしすぎて、当時のことはあまり覚えていないんです。毎日があっという間で、倒れ込むように寝ては、また朝を迎える。そんな生活でした。それでも、周りの方々にたくさん助けていただきました。『送り迎えを手伝うよ』と声をかけてくれる人もいて……。皆さんのおかげで、敦也に野球を続けさせることができました。感謝してもしきれません」(同)

 藤川は母の献身を支えに中学3年時には複数の強豪校から声がかかるまでに成長した。最終的に選んだのは特待生として声をかけてくれた宮崎の延岡学園。少しでも家計に負担の少ない道を自分で選んだ。七恵さんはできれば福岡県内にいてほしかったが、静かに背中を押した。今は介護の仕事をしている。

 親元を離れての寮生活で、藤川は大きな飛躍を遂げた。同校の部長を務める森松賢容氏は、かつて都城(宮崎)で山本由伸オリックスドジャース)を育てた。森松部長が言う。

「地道な努力をコツコツと積み重ねられる子です。入部当初は力任せに投げていたので、この3年間は、『力感なく投げる』をテーマにみっちり取り組んできました。練習内容は、柔軟体操や反復動作、体の使い方の確認など。正直に言うと、地道で面白みのないメニューが多かった。しかも、こうした練習はすぐに成果が出るものではない。それでも『自分のためになる』と信じて、愚痴もこぼさず黙々と続けてきた。ブレない芯の強さがあります。高校3年時の潜在能力は山本以上ではないか」

 高校3年間で甲子園出場こそかなわなかったが、自身の誕生日にオリックスから1位指名を受けた瞬間、延岡学園の会見場はどよめきに包まれた。藤川の隣でドラフトを見守った七恵さんが言う。

「これから敦也はさらに厳しい世界で戦うことになります。そんな敦也に負けないように、娘が巣立つまで仕事を精いっぱい頑張りたいです」

藤川敦也(ふじかわ・あつや):2007年10月23日、福岡県飯塚市生まれ。穂波東小1年から野球を始め、小4から穂波ブルースカイ、穂波東中時はヤング北九ベースボールクラブに所属し、延岡学園高へ進学。 右投げ右打ち。最速153キロ。身長183センチ、体重92キロ。好きな食べ物はシチュー。

  ◇  ◇  ◇

 日刊ゲンダイで毎秋大好評の当連載「ドラフト選手の家庭の事情」。関連記事には過去に掲載したオリックス選手の「家庭の事情」をピックアップした。プロ野球ファンこそ要チェックだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る