今も脳裏に焼き付く野茂英雄の真骨頂 初めての国際戦で見せた気迫、気概に全身が震え上がった

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 予選リーグは2-3でサヨナラ負けを喫していた。「赤い稲妻」と呼ばれたキューバは当時、世界最強国。リナレス、キンデラン、パチェコら世界に名だたる選手を擁していた。

 直後のソウル五輪は政治上の理由でボイコットし、対戦することはなかったが、日本は1972年の初対戦以降、2勝12敗1分けと圧倒されていた。キューバに追いつけ追い越せを目標にしていた時代である。

 野茂は初回、パチェコに2ランを浴びたものの、二回以降は無失点。2-2の同点で迎えた八回に失点し、チームは逆転負けを喫したが、当時の国際大会は金属バットを使用していた。まして、相手はキューバだ。

 普通の投手なら、ひとたまりもないという中で、野茂は150キロ近いストレートと落差の大きいフォークを古田敦也(トヨタ自動車)のミットをめがけて目いっぱい、投げ続けた。

 世界屈指のキューバの打者から、なんとか三振を取ってやろうと気迫をみなぎらせ、臆することが全くなかった。

 中でもリナレスとの対戦は、力と力、力と技がぶつかり合い、一打席一打席が緊迫した空気が流れていた。日本球界屈指の投手に成長しつつあった野茂と、17歳で国際大会デビューし「キューバの至宝」と呼ばれた当時21歳のリナレス。お互いが世界一の投手、打者として認識していたに違いない。球場の観客は日本ほど多くはなかったが、比較的静かな環境が一層、2人の勝負を際立たせたように思う。

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