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菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

名将野村監督の“栄光の終わり”を暗示した不吉な快挙…「明日につながらんよ」が現実に

公開日: 更新日:

 お江戸の桜が散り終えた頃の出来事だった。1998(平成10)年4月22日、神宮球場でのヤクルト-中日戦。初回にヤクルトが一挙13点を挙げた試合である。3本塁打を含む10打数連続安打という史上に残る猛攻だった。

 当時は大きな話題になった一戦だったが、不吉な「13」は名将の誉れ高かった野村克也の“栄光の終わり”を暗示する点数ともいえた。この回は先頭打者の飯田哲也が二ゴロに倒れた後、猛打が始まった。

▽2番 真中満=中前打

▽3番 ライル・ムートン=四球

▽4番 古田敦也=右中間二塁打(1-1の同点)

▽5番 土橋勝征=中前打

▽6番 池山隆寛=四球

▽7番 馬場敏史=中前打

▽8番 度会博文=敬遠四球

▽9番 宮出隆自=左翼二塁打

(今中慎二KO、山田貴志に交代)

▽1番 飯田=中越え3点本塁打

▽2番 真中=右翼ソロ本塁打

▽3番 ムートン=左翼安打

▽4番 古田=四球

▽5番 土橋=右前打

▽6番 池山=左翼3点本塁打

 この回、2打席目の馬場が中飛に倒れて終了した1イニング10打数連続安打の猛攻は当時、1936(昭和11)年の大阪(現阪神)に並ぶプロ野球タイ記録。1イニング13点は3度目の快挙だったのだが、選手のお祭り騒ぎをよそに、監督野村に笑顔はなかった。

「三回からは負け試合よ」

 確かにスコアは……。

 三回以降は中日が5得点、ヤクルトはわずか1得点。

「(勝因は相手先発の)今中の調子が悪かっただけ」

「ファームの試合だよ」

 そうボヤいた野村は、続けた。

「(13点は)明日につながらんよ」

同年限りで退任、翌年以降の阪神、楽天でも…

 ヤクルトは前年にリーグ優勝、日本シリーズも西武を倒して日本一に。野村の全盛時代だった。連覇を目指したのだが、この年は66勝69敗で4位に終わり、優勝した横浜に13ゲームの大差をつけられた。Aクラスの3位になったのは9月の1日だけで、あとは長い最下位を含めBクラスに低迷し、この年限りで退任の憂き目に遭った。

 野村は翌年から阪神の監督に就任したものの3年連続最下位という屈辱を味わい、2006(平成18)年から指揮を執った楽天でも最初の年は最下位。その後も野村桜は咲くことなくユニホームを脱いだ。

「明日につながらない」 そう語った「13」は、やはり不吉な数字だった……。

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