著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

球場はテロの格好の標的に…トランプがイランに仕掛けた戦争で球界はどう変わるのか

公開日: 更新日:

 軍事作戦の完了までの期間が長引けば、2026年のシーズンは戦時下で行われることになる。

 イラクとの戦争の際は、人気テレビドラマ「ER」でも将来を嘱望された青年医師が、軍医として戦地に赴く描写があった。戦地は米国本土から遠く離れていても、人々の生活の中に戦争の存在が深く刻み込まれたことを示す、象徴的な構成だった。

 今回も、イラン政府が国民に対して米国とイスラエルへの徹底した抵抗を呼びかけていることもあり、戦地は遠く離れているとしても、米国内が紛争の対象外であるとは限らない。

 例えば、戦力では劣るイランが、局面の打開のために政府関連施設や大人数が集まる場所を暴力行為の対象としかねない。特に1試合平均で約3万人が集まる大リーグの球場は格好の標的となる。

 あるいは、「イランによるテロ」という恐怖が、イラン系米国人やイランから米国で働いたり学んだりしている人々に対する憎悪と暴力という形をとることも予想される。

 球界にも大リーグからマイナーリーグの球団まで、イラン系米国人らが職員として所属している。

 大リーグ機構や選手たちが政権に働きかけ、戦争の早期の終結に寄与できる可能性は皆無である。しかし、選手や観客だけでなく、少なくとも球界が抱えるイランにゆかりのある人々の安全を守ることに全力を尽くさねばならない。関係者の負う責任は大きいのである。

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