「保守論壇亡国論」山崎行太郎著

公開日: 更新日:

■ネットメディアの「フォロワー」化した保守論壇

 保守というより極右。そういいたくなるほどの昨今の右傾化。はたして「保守」とは何なのか。

 江藤淳に私淑し、三島由紀夫を敬愛し、青年時代から保守を自任してきた団塊世代の著者。その人物が近年では最も活発な保守論壇批判の一人になっている。本書で批判されるのは桜井よしこ、中西輝政、西部邁、渡部昇一、西尾幹二ら名だたる現代の保守系知識人たち。彼らに1章ずつを割いて徹底批判を試みる。

 各章ではそれぞれの過去の論文や発言を広く参照し、多数の引用で言論のブレや変節を指摘しているが、注目は保守論壇の堕落を論じた第1章だろう。そもそも保守とは「いまあるものを保守する」ものだ。つまり保守は何らかの信条を貫こうとするイデオロギーではなく、「生き方や考え方のスタイル」なのだという。

 ところが左翼から転向した西部のような言論人は、みずからの転向の正当性を主張するためにも「保守」を「定義」しなければならなくなり、これに追随・追従する手合いがどっと増えてきたというのである。これはいわば保守論壇というものが昨今の若者たちが愛好するネットメディアの「フォロワー」のようになっているということだろう。寒々とした思想の荒れ野である。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に