「福島第一原発観光地化計画」東浩紀編
■「福島」を風化させないために「観光地化」を提言
福島第1原子力発電所の跡地と周辺地域の「観光地化」を実現するための提言書。観光地化という言葉に眉をひそめる方もいるかもしれないが、一般市民の見学を積極的に誘致することを目指し、それぞれの専門家が真剣に知恵を出し合い、後世のために具体的な開発計画を提案する。
実は、福島第1原発の四半世紀前に深刻な事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所とその周辺地域は、現在、積極的に観光客を受け入れている。その始まりは、報道関係者を対象とした被災者、事故処理関係者らによる自発的なスタディーツアーだった。そして今、福島第1原発事故の避難対象地域でも同じように「観光地化」への萌芽が見られるという。
まずは、富岡町や浪江町、南相馬市で被災者自身がガイドを務めるツアーの実際を紹介。それをどのように発展させるかを専門家らが「食」などの視点から提言する。
そして、さらに多くの人を呼び寄せるために事故処理の拠点となった「Jヴィレッジ」を原発事故とその後の復興を象徴する新しい空間へ生まれ変わらせることを提案。