「我れ、美に殉ず」小嵐九八郎著

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 江戸時代を代表する4人の絵師たちの壮絶な生涯を描いた歴史小説。「あっしは絵が好きなんでえ」「描きてえわい」。異口同音に絵に対する執念を吐露し、命尽きるまで描き続けたことが4人の絵師の共通点。

 久隅守景は狩野派を破門され、権威や枠を打ち破る「この一点」を描こうと七転八倒した。同じく狩野派の絵師、英一蝶は、流罪の憂き目にあい、はるかな江戸、吉原への思いを絵に込めた。伊藤若冲は青物問屋から絵師に転身、生きとし生けるものを描き続けた。浦上玉堂は武士を捨て、七弦琴と絵筆を携えて諸国を放浪。

 彼らはなぜ、地位や家業を捨ててまで絵筆一本に懸けたのか。作者は絵師たちの心の内に入り込み、その激しい揺れと微妙なひだを描き出す。彼らは時に「あ、おーん」と嘆き、「うっ、う……む」と苦悶し、「うん、ふふっ」と膝を打つ。絵師の業の凄みが生々しく迫ってくる。

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