「つながる図書館」猪谷千香著

公開日: 更新日:

 図書館とは本を読み、借りるところというだけの認識はもう古い。いまや24時間貸し出しOKというコンビニなみの図書館もあれば田舎町なのにカフェと一体化したオシャレな図書館もある。Jリーグのチームと連携する図書館もあれば合コンを企画する地元図書館もある。そんな公共図書館の今を取材してリポートしたのが本書。

 先駆的事例として紹介されているのが「本の街」神保町のすぐそばにある千代田区図書館。ビジネスマン向けの夜間サービスをうたって07年にリニューアル開館。首都圏の大図書館の大胆な改革がその後の流れを決定づけたようだ。ほかに長野県小布施町の「まちとしょテラソ」や東京都武蔵野市の「武蔵野プレイス」などユニークな例をくわしく紹介。

 また近年、図書館への批判として浮上した「無料貸本屋」問題や、県立と市立の図書館が近すぎるというので廃館まで取りざたされた例などもくわしく実例とともに解説する。同じ佐賀県で隣接する伊万里市民図書館と武雄市図書館が正反対のやり方で問題提起したことを取り上げた章も読みでがある。
(筑摩書房 780円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」