「牛と土 福島、3・11その後。」眞並恭介著

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 東日本大震災で引き起こされた原発事故で、警戒区域となった地には取り残された約3500頭もの牛がいた。餌を与えていた人間を失った牛は、牛舎につながれたまま餓死を遂げるか、放たれて野生化するしかない状況に追い込まれた。

 国は、運よく生き延びた牛が増えるのを恐れて殺処分命令を出したが、牛と共に暮らしてきた牛飼いたちのなかには、牛を生かす道を懸命に模索する者がいた。

 本書は、そうした牛飼いと、獣医や研究者たちの苦闘を丹念に取材した執念のノンフィクションだ。

 牛を生かそうと決意した牛飼いには、警戒区域への立ち入りを巡る行政との攻防や、餌を調達するためのコストとの闘いが待っていた。だが、奮闘を続けるうち、家畜でもない、ペットでもない、野生動物でもない被曝した牛には、研究対象としての存在価値、さらに荒れ果てた農地を保全させる価値があることが分かってくる。理不尽な選択を迫られた人々の真摯な姿勢が胸に迫る。

(集英社 1500円+税)

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