「XY」徳永圭著

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 物語の主人公は、手芸用専門商社で商品の仕入れをしている宗谷聡子33歳。会社の健康診断で右の卵巣の腫れを指摘され、精密検査で卵巣嚢腫が発覚した。

 ショックを受けて帰る道すがら、聡子はふと駅のホームでユリの花束を持って立つ黒いスーツの男に目を留める。喪失感を抱えたような不思議なたたずまいに目が離せなくなったがそのまま気を失って倒れ、その男に助けられた。そして摘出手術を受けた後、偶然その男と再会して恋に落ちる。しかし特許事務所に勤め、広いマンションでひとり暮らしをしていたその堂島という男は、聡子の知らない事情を抱えていた。聡子は堂島を愛するがゆえに、禁断の行動を開始する……。

 本書は、2011年に「をとめ模様、スパイ日和」で第12回ボイルドエッグズ新人賞を受賞してデビューした新人作家の最新作。生きることにハリをなくしていた主人公が病気や恋愛を経て、思い切った賭けに出る心模様とラストの仕掛けが読みどころだ。(KADOKAWA 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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