「十字路が見える」北方謙三著

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 ハードボイルドの新星としてデビューして以降、男気あふれる作家として多くのファンを魅了し、時代小説の分野でも快進撃を続けてきたバイタリティーあふれる著者。本書は、そろそろ70歳の大台が射程に入ってきた円熟の時を迎えて、ますます生きていることのうまみを凝縮させる日々を描いた自叙伝的エッセーだ。

 人生の十字路ともいえる分岐点で出合ってきたものは数知れない。タコやワカメなど自力で生け捕る野性味あふれる食へのこだわり、没原稿を書き続けた若き日の決意、触発された音楽や映画との出合い、カンボジア・モロッコ・東欧など旅での武勇伝、初心者マークでイタリア車のマセラティを購入し3日目に免停になったこと、小説の登場人物を殺してしまうときの心境、時代小説へかじを切ったときのエピソード、デビューから40年近く伴走してくれた編集者の定年など、時の積み重ねを経た語りは相変わらず豪快でユーモラスでもある。

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