• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

「わたしの土地から大地へ」セバスチャン・サルカド/イザベル・フランク著 中村勉訳

 セバスチャン・サルガドはブラジル出身の写真家。発展途上国を旅して、貧困、飢餓、難民、過酷な労働の現場などを撮った作品で知られている。

 1944年、豊かな森に囲まれた農園に生まれたサルガドは、夢のような少年時代を過ごした。サンパウロ大学で経済学を学んだ後、軍事独裁下の祖国ブラジルを脱出、パリに赴く。やがて国際コーヒー機関のエコノミストのポストを得て、ルワンダ、コンゴなどアフリカの国々で経済発展計画に携わった。

 ところが、若きエコノミストは、高収入とアパルトマンとスポーツカーを捨てて、写真家への転身を決意する。建築を勉強していた妻が建物撮影用に購入したカメラの魅力にはまったのは、夫のほうだった。

 写真という天職にめぐり合ったサルガドは、故郷であるラテンアメリカをはじめ、アジア、アフリカと、世界中を旅することになる。サルガドがフィルムに収めたのは、働く者の泥まみれの手。枯れ枝のような足で砂漠を行く放浪民、内戦から逃れてきた難民の群れ。ルワンダの惨劇……。労働の現場で、難民キャンプで、何週間も生活をともにしながら、「事」ではなく「人間」を撮る。この自伝の聞き書きをしたジャーナリスト、イザベル・フランクは、まえがきの冒頭に書いている。「セバスチャン・サルガドの写真を見ることは、人間の尊厳を体験するということだ」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    関西圏から勧誘 花咲徳栄の岩井監督に聞く「選手集め」

  2. 2

    12年を経て…リア・ディゾンが明かした「黒船」の重圧と今

  3. 3

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  4. 4

    秋田・金足農の中泉監督が語る 球児の体力と練習の今昔

  5. 5

    国会議員は7割支持でも…安倍首相を襲う「地方票」の乱

  6. 6

    異例の事態 「翁長知事死去」海外メディア続々報道のワケ

  7. 7

    広島・丸と西武・浅村めぐり…巨・神でFA補強争奪戦が勃発

  8. 8

    スパイ容疑で拘束 北朝鮮に通った39歳日本人男性の行状

  9. 9

    安倍3選確実といわれる総裁選で国民に問われていること

  10. 10

    ちばてつや氏「権力者にを堂々とものを言える国であって」

もっと見る