「九番目の雲」山岡ヒロアキ著

公開日: 更新日:

 営業マンの高梨吾郎は37歳。同期の大江は3週間も欠勤していて、未回収の売掛金があるという噂が流れている。離婚した妻が再婚するので、娘の養育費はもう要らないと言ってきたと笑っていたのだが。

 独り暮らしだった吾郎の母が町中の店がお釣りをごまかすと訴えるようになった。同居することを考えて、妻子を連れて実家に行くと、母が衣類が散乱した部屋の中で全裸でへたり込んでいた。母を入院させた夜、吾郎は自分の大江に対する気持ち、母への思いなどがすべて偽物だったような気がした。――俺は今、目に見えない何かに試されている。ごまかしばかりで生きてきた男が再生する物語。

(講談社 1400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方