「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健著

公開日: 更新日:

 アドラーの個人心理学の精髄を、悩める青年とそれに応える哲人との対話という形式で紹介し、100万部を超えるベストセラーとなった「嫌われる勇気」の続編。

 哲人からアドラーの教えを受けたあの日を境に人生が一変した青年は、それまで勤めていた大学図書館を辞め、母校の中学校で教師の職を得た。アドラーの思想に基づく教育を実践し、ひとりでも多くの子どもたちに光を届けようと理想に燃えた青年は、アドラーの掲げる「ほめてはいけない、叱ってはいけない」という教育方針で臨む。

 しかしその結果、教室は荒れ果ててしまった。アドラーの思想は結局ペテンに過ぎないと思った青年は、アドラーと決別すべく3年ぶりに哲人の書斎を訪れたのだ。しかし哲人は、青年のアドラー理解は中途半端だと諭し、教育こそアドラー思想の中核で、競争ではなく協力こそ生徒の真の自立を促すのだと諄々と説いていく。

 前著のおさらいをしつつ、「共同体感覚」「愛」というアドラー思想の要をより具体的に説くことで、本当の幸福へ至るための道筋を示す。(ダイヤモンド社 1500円+税)




【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗