「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健著

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 アドラーの個人心理学の精髄を、悩める青年とそれに応える哲人との対話という形式で紹介し、100万部を超えるベストセラーとなった「嫌われる勇気」の続編。

 哲人からアドラーの教えを受けたあの日を境に人生が一変した青年は、それまで勤めていた大学図書館を辞め、母校の中学校で教師の職を得た。アドラーの思想に基づく教育を実践し、ひとりでも多くの子どもたちに光を届けようと理想に燃えた青年は、アドラーの掲げる「ほめてはいけない、叱ってはいけない」という教育方針で臨む。

 しかしその結果、教室は荒れ果ててしまった。アドラーの思想は結局ペテンに過ぎないと思った青年は、アドラーと決別すべく3年ぶりに哲人の書斎を訪れたのだ。しかし哲人は、青年のアドラー理解は中途半端だと諭し、教育こそアドラー思想の中核で、競争ではなく協力こそ生徒の真の自立を促すのだと諄々と説いていく。

 前著のおさらいをしつつ、「共同体感覚」「愛」というアドラー思想の要をより具体的に説くことで、本当の幸福へ至るための道筋を示す。(ダイヤモンド社 1500円+税)




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