現代は“オトコ”にとって本当に生きづらい時代なのか?

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「男という名の絶望」奥田祥子著

 新聞社系週刊誌記者として家庭問題や男性の晩婚・非婚化などを取材してきた著者。「男はつらいらしい」というルポもあるが、本書の筆致はかなり違う。

 リストラの恐怖におびえる中間管理職世代。妻の浮気を見て見ぬふりし、妻のDVに苦しむ夫。子どもとの関わりで家族関係まで壊れた父。中年過ぎても母親の影につきまとわれる息子。現代の男たちを取り巻く複雑な重圧の諸相がこれでもかとばかりに描かれる。

 新聞記者のルポは客観的記述がスタンダードだが、本書では筆者の個人的な思いや姿勢が折々に吐露され、取材相手の夫婦から子どものいない独身女性という立場を「いいですね、気楽で」と皮肉られたりもする。しかしそれがかえって取材対象の悩みや苦しみに深く踏み込むきっかけになるような新しいルポの試みにもなっている。

 保身のために同期の友人を身代わりにして生き残ったサラリーマンが家庭にいる場を失い、末期がんでようやく妻とのつながりを取り戻す――。書名だけ見るとジェンダー論の学者の小言のようだが、本書はむしろ取材対象への悲しい共感をこめたジャーナリストの現代男性論だ。(幻冬舎 800円+税)


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