「ままならないから私とあなた」朝井リョウ著

公開日:  更新日:

 語り手・雪子は、ピアノが大好きな小学5年生の女の子。算数が得意で一人でいることも怖がらない薫と仲良しで、将来の夢を教え合っている。

 背が高くて日直当番の黒板消しを手伝ってくれるワタナベ君のこと、すでに胸が大きくなり自分より先にブラジャーを着け始めた薫のことが気になって仕方ない。

 そんな雪子の内面の変化を、2009年の小学5年時から大人になった2022年まで追っていくのだが……。

「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞してデビューし、「何者」で第148回直木賞を、「世界地図の下書き」で第29回坪田譲治文学賞を受賞した著者による最新作。

 表題作のほか、結婚式の出席者や恋人役など人間関係をレンタルするサービス業に対して真正面から疑問を呈する男を描いた「レンタル世界」も収録。

 どちらの作品も合理的で無駄のないことに価値を置く現代に順応して生きていく人間と、それに違和感を持つ人間が登場する。自分と他者との間にある、どうしようもないほどの価値観や生き方の違いについて、考えさせてくれる物語になっている。(文藝春秋 1400円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    台湾4割スラッガー王柏融めぐり 巨人vs阪神で争奪戦勃発

  2. 2

    悪いのは告発女性? バナナ日村「淫行」同情論への違和感

  3. 3

    突然の引退劇…貴乃花親方“お涙頂戴会見”のウソ八百<上>

  4. 4

    安倍首相が怯える 近畿財務局“森友キーマン”証人尋問Xデー

  5. 5

    19歳ガングロで起業し注目「ギャル社長」藤田志穂さんは今

  6. 6

    突然の引退劇…貴乃花親方“お涙頂戴会見”のウソ八百<下>

  7. 7

    女が嫌いな女3位 伊藤綾子が暗示する“におわせメッセージ”

  8. 8

    唯一トラックマン未導入でも…勝てる広島の「データ戦略」

  9. 9

    巨人が4年連続V逸…広島をマネしたくてもできない断末魔

  10. 10

    OBも疑心暗鬼 巨人・由伸監督“続投示唆”から急失速のナゾ

もっと見る