「ヌメロ・ゼロ」ウンベルト・エーコ著、中山エツコ訳

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 物語の舞台は、1992年のミラノ。翻訳やゴーストライターをしながら食いつないできた敗北者を自称する五十男のコロンナのもとに、新たな仕事の依頼が持ち込まれた。それは、日刊紙「ドマーニ」の発刊にあたり創刊準備号となるゼロ号を制作する仕事。暴露記事を専門とするブラッガドーチョ、毒のある記事が得意なルチディ、ゴシップ誌の芸能記事担当だった女性記者マイアなど、アクの強いメンバーが集められた。

 ところが、握りつぶされた真実を告発するインディペンデント紙としてスタートするはずが、そこには出資者の恐るべき企みがあった……。

 今年2月に死去した世界的ベストセラー作家が書いた最後のミステリー小説。イタリアで実際に起きた出来事や実在の人物を下敷きにして、新聞報道がどのように情報操作されていくのか、ミラノの新聞社を舞台にその手の内を赤裸々に見せていく。どんな事件でもすぐに忘れてしまう大衆が、いかに仕立てられたニュースに踊らされて、いいようにミスリードされてしまうのか。日本も決してヒトゴトとはいえない、歪められた報道の危うさに、背筋が凍る。(河出書房新社 1850円+税)

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