• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「ヴェサリウスの秘密」ジョルディ・ヨブレギャット著、宮崎真紀訳

 スペイン初の万博を目前に控えた19世紀末のバルセロナを舞台にしたミステリーである。主人公は3人。まず、父親の死の知らせを受けて故郷に戻ってきた大学教授ダニエル。その死を殺人と信じる新聞記者フレーシャ。かくてこの2人は事件の真相を調べていくことになるが、そこに絡んでくるのが謎の医学生パウ・ジルベルト。

 実に盛りだくさんの小説である。ダニエルの父は若い女性の猟奇連続殺人事件を調べていた形跡があり、さらに父が残した手帳には、16世紀の解剖学者ヴェサリウスの大著「人体構造論」の幻の第8巻のことが言及され、不思議な暗号表が書かれていた。このヴェサリウスの幻の書が、物語の底流をずっと流れていく。一体、連続殺人事件とヴェサリウスはどう関係しているのか。

 下水道の冒険、馬車での追跡劇と、激しい動きと場面転換の鮮やかさで読ませる箇所もあれば、地下住民が登場したりして謎はどんどん深まっていく。

 謎解きに活劇に恋愛と、小説のさまざまな要素をえいっと全部放り込んでシェークしたような600ページに及ぶ長編だが、ラスト100ページが特に圧巻。そのラストにいたるまでも面白く、圧倒的に読ませるのだが、最後にギアが一段上がった感がある。

 著者はバルセロナ在住のスペイン作家。これがデビュー作である。今後が期待できる新人作家の登場だ。(集英社 1100円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    県警・消防は380人動員 なぜ理稀ちゃんを発見できなかった

  2. 2

    もし破局したら…“恋愛露出狂”剛力&前澤社長の未来予想図

  3. 3

    逸材ゴロゴロ 夏の甲子園“契約金1億円”ドラ1候補7人の名前

  4. 4

    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見

  5. 5

    総裁選で論戦拒否…安倍首相が打って出た「逃げ恥」作戦

  6. 6

    ドラ1候補社会人も“直メジャー”…日本球界はなぜ嫌われる

  7. 7

    キムタクは“御一行”で…被災地を単身訪れた斎藤工との差

  8. 8

    恋愛に厳しいはずが…剛力彩芽を“黙認”するオスカーの打算

  9. 9

    巨人・重信の台頭で…“FAの目玉”広島・丸の獲得に影響も

  10. 10

    進学説の真偽は…金足農・吉田輝星めぐるプロ争奪戦の内幕

もっと見る