「人類は絶滅を逃れられるのか」スティーブン・ピンカーほか著、藤原朝子訳

公開日: 更新日:

 カナダのムンク財団は、2008年からグローバルな政策課題をめぐって世界最高峰の4人の識者を招き、「ムンク・ディベート」と呼ばれる討論会を行っている。4人が二手に分かれて討論するとともに、聴衆がディベートの前と後とでどのくらい意見を変えたかで勝敗を競うというもの。

 本書のテーマは「人類の未来は明るいか」。肯定派はハーバード大学の認知心理学者スティーブン・ピンカーと英国貴族院議員で科学ジャーナリストのマット・リドレー。対する否定派は、ジャーナリストでベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルとスイス生まれの哲学者アラン・ド・ボトン。肯定派は具体的な数値を示して過去50年間で貧困、戦争、疫病などが確実に減少していることを指摘。一方否定派は、グローバル化と高度情報化の裏には意想外の危機がはらまれ、それが人間の脆弱性と合わさる危険性を警告する。双方の議論は噛み合っていないが、来るべき未来にどのような問題が待ち受けているのかは明示されている。(ダイヤモンド社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ