「和菓子を愛した人たち」虎屋文庫編著

公開日: 更新日:

「暴れん坊将軍」として時代劇でもお馴染みの徳川吉宗には好物の菓子があった。東海道の名物、きな粉をまぶした安倍川餅だ。駿河国出身の家臣が作る安倍川餅がお気に入りで、家臣も「富士川の雪水で育てたもち米がおいしさを生む」と考え、わざわざ駿河からもち米を取り寄せて作っていたという。享保の改革で倹約を強い、自らも食生活のぜいたくを戒めたが、この安倍川餅だけは主君を思う家臣の気持ちを思いやって味わったかもしれない。

 小説家芥川龍之介はニヒルな印象とは裏腹に、かなりの菓子好きだった。特に好きだったのが汁粉で、上野の常磐という店をひいきにし、小倉汁粉をお代わりするのが決まりだった。

 室町時代に京都で創業した虎屋が持つ菓子資料を基に、清少納言や森鴎外ら歴史上の人物100人の和菓子にまつわるエピソードを紹介。(山川出版社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ