「dele ディーリー」本多孝好氏

公開日: 更新日:

 本作では、詐欺絡みのリスト、違法に手にしたと思われる個人情報、秘密の預金に関するものなど全5話が描かれる。そうした不気味なデータをめぐる不可解な事件と人間模様が交錯するなか、祐太郎らの行動によって依頼人の切ない思いが浮かび上がってくる。

「記憶にとどめたくて記録するもの、何げなく記録したものとさまざまありますが、これから先、膨大な記録に囲まれて暮らすことになる我々は、記録との付き合い方を、もう一度考えてみる時期にきているのかもしれません。今60代の人などは恐らく、膨大なデータを残して死ぬことになるでしょうが、それをどうするのか。削除する、しないを遺族は選び得るのか。その覚悟は、残すほうも残されるほうも必要になってくると思いますね」

 今後、シリーズ化していくという。注目だ。(KADOKAWA 1600円+税)

▽ほんだ・たかよし 1971年、東京都生まれ。94年「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞。99年、同作を含む短編集「MISSING」が大ヒット。著書に映画化された「真夜中の五分前」「ストレイヤーズ・クロニクル」ほか、「MOMENT」「WILL」など多数。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」