「dele ディーリー」本多孝好氏

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「私たちは日々、スマホやパソコンといったデジタルデバイスの中にいて、手軽に使っていますが、自分としては意味を持たないデータがどんどん蓄積していき、自分の死後、それを見た人が勝手に“私”という人間像を作り上げる可能性って高いと思うんですよ。残されたデータはいわば疑似的人格。記憶とは違う“私”を勝手に見つけたかもしれないと思うと違和感を覚えますし、戸惑う遺族もいるのではないでしょうか」

 収録の「シークレット・ガーデン」の依頼者は、大手ゼネコン取締役の男性76歳。死亡確認のためもぐりこんだ葬儀で、祐太郎は「故人の妻だ」という若い女性に出くわす。莫大な遺産が絡む事柄だけに、祐太郎は「中を確認したほうがいい」と圭司に忠告する。果たしてデータに収められていたのは自称・妻とは別の女性の写真で、やがて殺人事件へと発展していく。

「この物語は、最初に考えたものです。現実を考えればあるはずなのに、データ上ではまったく見当たらないという、現実とデータのギャップを端的に表した、deleらしい物語になったと思います」


 圭司は職務に忠実で、これまで依頼データの中身を見ることなく、淡々と削除してきた。一方、祐太郎は、故人の家族や交友関係に触れるうち、残すことによって救われる人もいると主張して譲らない。

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