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白石あづさ
著者のコラム一覧
白石あづさ

日本大学芸術学部卒。地域紙の記者を経て約3年間の世界放浪へと旅立つ。現在はフリーライターとして旅行雑誌などに執筆。著書に「世界のへんな肉」「世界のへんなおじさん」など。

富士山が見える最遠は、和歌山の色川富士見峠

「地球は本当に丸いのか?」武田康男著 草思社 1200円+税

 この連載も最終回。最後に選んだのは、「地球の丸さが分からない」という私の長年のもやもやを解消してくれる本だ。その昔、西回りに世界一周の旅に出て東から戻ったので球体であることは確かなのだが、歩いていて「おっ、丸い!」と感じることはない。

 ところが本書には「お主、普段から地球の輪郭を見てるぞ」と全力で書いている。例えば、東京湾に浮かぶ海抜10メートルの海ほたるから横浜方面を見ると25キロ先に横浜の高層ビルが見える。そう、あのデッキは眺めがいい。しかし誰であれ実は12キロ先までしか見えないのだという。

 ん? それは海が霞んでいるか、私の目が悪いからか? と思っていたが、それが地球のカーブのせいだったとは! 地平線は視力の限界ではなかったのだ。え? そんなこと当たり前? 理科の時間はよく寝ていたから……話を続けよう。地球の縁である12キロ地点を頂点としてカーブは下がり、さらに13キロ先の横浜は12メートル沈むので、低いビルは地球の陰に隠れ見えない。地平線の上に高いビルの上部だけが顔を出すという二重構造を我々は目にしていたのだ。

 まさか、そんなカラクリだったとは。地球はとてつもなくでかいから、横浜までなんてフラットで、下から上まで見えていると思い込んでいた。

 そこで問題である。海抜0メートルから富士山はどこまで拝めるのか? 答えは230キロ。遠くなるほど富士山は地球の陰に隠れて頭しか見えないので低く見える。ちなみに山に登った場合、323キロ先の和歌山の色川富士見峠で撮影に成功したのが最長距離だという。

 ほかにもギリシャ人は紀元前220年には地球の大きさを知っていたことや、日本と南極では月の模様が上下逆さに見えるため、ウサちゃんは逆立ちして餅をついていることなど楽しい小話がいっぱいだ。会社帰り、本書とビールを片手に高いビルから地球の丸さを堪能してみてはいかがだろう。

 読者のみなさまに「へんな世界」を楽しんでいただけたならうれしい。長きにわたりご愛読ありがとうございました。

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