高齢者が服用していい薬は5種類まで

公開日: 更新日:

「薬の見分け方」石浦章一著

 年齢を重ねると服用する薬の量も増えてくるが、高齢者の場合、同時に服用していいのは5種類までだという。体質が虚弱になると、若い頃と同じ服用量でも副作用が出やすくなるためだ。東大病院老年病科の解析でも、6種類以上の併用から副作用の表れる確率が顕著に増加することが分かっている。薬はできるだけ5種類までにとどめるのが安全だ。

 本書には、医者が教えてくれない薬の真実が満載。生化学・分子生物学を専門とし東京大学名誉教授も務める著者が薬に関する最先端の情報を分かりやすく紹介している。

 同量の薬を服用しても、てきめんに効く人となかなか効かない人がいる。この違いは、誰もが体内に持つ「シトクロムP450(CYP)」という酵素にある。CYPは薬の代謝に関わり、活性が弱い人は「プア・メタボライザー」、活性が強い人は「ウルトララピッド・メタボライザー」と呼ばれる。“プア”の方がよくないイメージだが、実は前者は薬が長く体内にとどまるため、少ない薬でもよく効く。しかし後者は薬をどんどん代謝してしまうので、なかなか効かないのだ。

 近年では、あらかじめCYPを調べて投与量を決めるオーダーメード医療を推進すべきという声も高まっている。薬と賢く付き合いながら、健康を保ちたいものだ。

(朝日出版社 1350円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です