「街場の天皇論」内田樹著

公開日: 更新日:

 天皇は「シャーマン」としての機能をもち、戦地を訪れて死者を慰霊しているが、日本人の死者だけでなくその地で死んだすべての人を慰霊している。この慰霊こそが天皇の本務なのに、それができなくなりつつあるので「生前退位」が必要となったのだ。

 そういう死者たちへの思いが政治的エネルギーの源泉になっていることを利用しているのが政治家だが、安倍晋三が背負っているのは天皇のような「すべての死者」ではなく「岸信介という生々しい死者」である。だが、日本のリベラル・左翼・知識人は未来志向で、過去の死者をあまり顧みないため極右に勝てないという。

 天皇制と民主国家との共生を考える天皇論。

(東洋経済新報社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動