賢治に教わる「地学基礎」

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「宮沢賢治の地学教室」柴山元彦著

 いまだに多くの人を魅了する文学者・宮沢賢治は、地学の先生でもあった。そのため、作品には地学的なテーマや表現がふんだんに盛り込まれている。

 そんな賢治の作品を引用しながら、とっつきにくい地学の基礎を解説してくれる参考書だ。

「宇宙のしくみ」の章では、代表作「銀河鉄道の夜」を引用。天の川が星の集まりであることや、それが凸レンズ形をした銀河系であることなどが学校の授業風景として描かれ、宇宙の全体的な外観をつかむことができる。

 宇宙にはさまざまな形の銀河が存在しており、我々が暮らす太陽系が所属する銀河は「銀河系」と呼ばれる。といった頭がこんがらがりそうな話題も、なぜそう命名されたのか、理由にも触れながら、ひとつひとつ解説する。

 さらに賢治が記したように、銀河系は凸レンズのように中心が膨らんだ円盤状で、その中心核の部分をバルジ、平たくなった部分を円盤部(ディスク)と呼び、太陽系は、バルジの中心から約5万光年離れた円盤部の端の方にあり、ここから見る銀河系の断面がいわゆる天の川なのだそうだ。

 このように、納得の解説で、高校時代にとっつきにくかった「地学基礎」の内容がスラスラと頭に入ってくる。

 賢治の「柳沢」という作品には、主人公らが岩手山での夜間登山中に、山頂が発光する現象を見たことが描かれている。これは、空気中の酸素原子が励起(高エネルギー)状態になり、オーロラのように光を発する「超高層大気光」と呼ばれる現象。当時は科学的に解明されていなかったこのような発光現象についても、賢治は作中で本質に近い説明をしている。

 現役生はもちろん、学び直しをしたい人も、きっと賢治が導いてくれる。

(創元社 1700円+税)

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