日本の「隣百姓」とは正反対の生き方のモンゴル人

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 いまだくすぶり続ける日馬富士の暴行事件。根底にある問題は何なのか、その一端を垣間見ることができるのが宮脇淳子著「モンゴル力士はなぜ嫌われるのか」(ワック 920円+税)である。

 タイトルはセンセーショナルだが、モンゴル力士批判の書ではない。著者は40年間にわたりモンゴル文化を研究してきた東洋史学者。本書は2008年刊行の「朝青龍はなぜ強いのか?」の新装版だが、今回の事件で話題になったモンゴル文化とモンゴル人気質について知り得る気になる一冊だ。

 モンゴル人は日本人と見た目が似ており親近感を覚える人が多いかもしれないが、むしろ日本人とは正反対の文化・生き方を持っているということを理解しなければならない。貴乃花親方はいわゆる“モンゴル互助会”が大嫌いといわれているが、そもそも遊牧民の歴史を持つモンゴル人には、仲間とつるむ文化がない。他の遊牧民が行っていない牧草地をひとりで探して切り開くことが生きる道であったためだ。

 近隣に合わせて仕事をし同調しない者を排除する日本の「隣百姓」とは正反対の生き方をするのがモンゴル人で、“とりあえず周りに合わせる”という考え方は持っていない。そんな個人主義を美徳とするモンゴル人力士たちが互助会的なものをつくり、閉鎖的な日本社会に対抗するのもやむを得ない行動だったのではないかと著者は言う。

 さらに、年上の先輩は敬わなければならないという日本の「長幼の序」という思想もモンゴルにはない。年功序列よりも実力、相撲でいえば番付が優先するのだ。かつて横綱朝青龍が、年上だが平幕力士だったモンゴル出身の旭鷲山に失礼な態度を取ったとして大問題となったことがある。むしろ旭鷲山が横綱に敬意を払わなかったことが朝青龍を怒らせた可能性もあったのだが、日本のマスコミは朝青龍だけをバッシングした。朝青龍はさぞかし戸惑ったことだろう。

 横綱白鵬に対する批判も聞こえてくるが、2010年に野球賭博問題が起きたとき、相撲協会は白鵬を力士の代表として日本国民に対し、頭を下げさせた。彼が今わが物顔で振る舞っているとしたら、原因は相撲協会の方にあるのではないかと本書。この機会にモンゴル人をより深く知るとともに、日本人の気質についても振り返ってみたい。


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