「絶望の歌を唄え」堂場瞬一著

公開日: 更新日:

 主人公は、国連が派遣する選挙監視委員会のメンバーのひとりとして警視庁から選ばれ、政情不安のある国に赴任することになった安宅真。蒸し暑さのなか、無事に選挙が行われようとした矢先、安宅のすぐそばでトラックを使ったテロが起きる。

 難は逃れたものの、音楽の趣味を通して現地で親しくなったジャーナリスト・田澤直人は行方知れずとなった。友を失ったことをきっかけに安宅は帰国後に警察を辞め、定年後の夢だったコーヒー店の店主に転身することに。

 ところが10年たったある日、コーヒー店のすぐそばで不審な爆発が起こる。記憶がフラッシュバックした安宅は、日本でもあの時と同じテロが起こったと確信するのだが……。

 警察小説を得意とする著者が書いた元刑事が主人公のハードボイルドサスペンス。過去と決別したはずなのに、刑事としての本能がうずいた安宅が、丸腰かつ捜査権もないという不利な状況のまま真相に近づいていく過程がハラハラさせる。(角川春樹事務所 1600円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  2. 2

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    コメ増産から2カ月で一転、高市内閣の新農相が減産へ180度方針転換…生産者は大混乱

  5. 5

    オリックスまさかのドラフト戦略 「凶作」の高校生総ざらいで"急がば回れ"

  1. 6

    ヤクルト2位 モイセエフ・ニキータ 《生きていくために日本に来ました》父が明かす壮絶半生

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    “代役”白石聖が窮地を救うか? 期待しかないNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』に思わぬ落とし穴

  4. 9

    福山雅治は"フジ不適切会合参加"報道でも紅白で白組大トリの可能性も十分…出場を容認するNHKの思惑

  5. 10

    バスタオル一枚の星野監督は鬼の形相でダッシュ、そのまま俺は飛び蹴りを食らった