「物語のおわり」湊かなえ著

公開日: 更新日:

 35歳の智子は、安定期に入ったお腹の子とフェリーで北海道を目指す。日程が合わず飛行機で往復する夫と現地で合流するまでの束の間のふたり旅だ。妊娠3カ月の時、亡父と同じ直腸がんと診断された智子は、20年前に両親と旅した北海道を再び訪ねてみたかったのだ。

 早朝の甲板で、智子は中学生くらいの少女・萌と出会い、彼女から「空の彼方」というタイトルの紙束を渡される。その中には、山あいの小さな町のパン屋の娘・絵美の物語がつづられていた。しかし、なぜか物語は結末まで描かれていなかった。(「過去へ未来へ」)

 人生の岐路に立ち、北海道へひとり旅をする人たちの心が、結末のない物語と出合うことによって化学変化を起こすさまを描いた連作小説。(朝日新聞出版 640円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も