キューバ音楽の伝説的ドキュメンタリーの続編

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 いまとなってはずいぶん昔に感じる1999年、一本の音楽映画が世界中を魅了した。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」――鮮烈に思い出す人も多いだろう。ギタリストのライ・クーダーが「発見」したキューバの老ミュージシャンたちが、革命以来初めて西側の客の前で優雅に共演する姿は、ラテン音楽ファンの域を越えて反響を呼んだ。

 その伝説的ドキュメンタリーの続編が来週末封切りの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス」である。

 前作では初めて見る彼らの「いま」に驚嘆したものだが、本作ではその生い立ちや青年期に日が当たる。戦前から舞台に立っていた老翁たちは下積みを経て短い活躍期のあと、長く忘れられていた。柔らかな歌声のイブライム・フェレールは靴磨きで生計を立て、ルベーン・ゴンザレスも愛用のピアノは白アリにやられていたという。

 映画はそんな彼らが人生の最後に思わぬ脚光を浴び、みるみる輝き出す姿を蘇らせる。前作は音楽中心だったが、本作は「アディオス」(さようなら)と題されたワールドツアーにも同行して各自の人柄を丁寧にあぶり出す。ルベーンは03年に物故し、イブライムも05年に逝去。彼らが最後まで人生に満足していたのは、いつもダンディーな故コンパイ・セグンドの言葉に明らかだ――「わしらは遅咲きだが、人生の花は誰にも必ず訪れるのさ」。

 音楽の話なら、さかぐちとおる著「キューバ音楽を歩く旅」(彩流社)という好著があるが、今回は越川芳明著「あっけらかんの国キューバ」(猿江商會 1800円+税)を紹介したい。

 10年来キューバに通いつめ、地元の民間信仰「サンテリア」に弟子入りして司祭の位までもらったアメリカ文学者の“キューバ版徒然草”。剛毅で繊細、議論とダンスと砂糖が大好きなキューバの人々の心のひだを、少しだけのぞき見させてくれる。

<生井英考>


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