「医療経済の嘘」森田洋之著
財政破綻した夕張市の診療所に赴任した医師の著者は、病床数が以前の10分の1に激減したにもかかわらず、住人の健康被害もない上に、人口当たりの医療費が減少していることに驚く。調べると、自治体によって人口当たりの病床数が2~3倍も差があり、同時に病床が多い自治体は少ない自治体に比べて住人1人当たりの入院医療費を2倍も使っていることが分かったという。
日本では最も人口当たりの病床数が少ない県でさえ、英米の2倍あり、CTやMRIも世界一多く持っているのだとか。なのに、実は病床の数と寿命とは関係がないという。高齢化率日本一の夕張市の医療を例に、医療経済の拡大が健康と比例しないことを明らかにしながら、未来のあるべき医療を提案する。
(ポプラ社 800円+税)