「最新 進化論キーワード図鑑」池田清彦監修

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 遺伝子操作の技術は知らないうちに日常に浸透し、そう遠くない将来、受精卵に遺伝子操作を加え、親の望む通りの子供をつくり出す「デザイナーベビー」さえ現実化するといわれている。

 こうしたニュースを目にするたび、人類はどこに向かっているのかと考えてしまう。しかし、その問いに答えるには、われわれは一体どこからきたのかという「進化」について知らなければならない。

 初めて科学的に進化を説明しようとしたフランスの生物学者ラマルク(1744~1829年)や、ご存じ、初期進化論を大成したダーウィン(1809~1882年)に始まる進化論は、約200年の歴史を経たが、なぜ進化が起こるかについては、いまだに論争が絶えず、進化論は発展途上の学問なのだ。

 本書は、進化論に関するキーワードを解説したイラスト図鑑。

 地球生命の劇的な進化の引き金になったといわれる「スノーボール・アース」や、約5・5億年前のカンブリア紀に一気に生き物の形態が複雑化し、種の数が増大した「カンブリア大爆発」などの事項をはじめ、突然変異が頻繁に起こっていること、そして変異の大多数は生物にとって有利でも不利でもない中立的な作用しか持たないことを発見して「適者生存による自然選択」というダーウィニズムの根本に一石を投じた日本の進化学者・木村資生(1924~1994年)らの人名まで。190項目を収録(人名21、事項名169)。

 項目はアイウエオ順などではなく、これまでの進化論の発展の歴史が一望できるよう編集されているため、進化論の早わかりハンドブックとして読むのもいい。夏休みも間近、子供たちの質問にすぐ答えられるように常備をおすすめする。

(宝島社 1100円+税)


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