「告白」清原和博著

公開日: 更新日:

 名門PL学園で高校1年から4番を務め、5季連続で甲子園に出場。優勝2回、準優勝2回。甲子園通算13本塁打は歴代最多。卒業後、西武ライオンズに入団、1年目で31本塁打の高卒新人記録を更新――。16歳からの4年間で人生の頂点を極めてしまった清原和博。その後のプロ野球人生も通算525本塁打を放つなど非凡だったが、スタートが桁外れに輝かしかったので、くすんで見えてしまう。

 本書で語られるのは、あまりに早いピークで得た栄光と、その後の人生をどう折り合いを付けようとしたかの苦闘の道のりである。

 転機はいくつかあった。ドラフトで希望の巨人入りを果たせなかったことが傷となり、FA宣言をして巨人に入ったこと。仰木元近鉄監督の誘いを蹴って巨人残留に固執したこと。いずれも悔いはないと本人は言う。しかし、結果的にはあの栄光にとらわれたとしか思えない選択に見える。そして覚醒剤。しかし、なぜ覚醒剤だったのか、明確には語られない。

 最後に「今もまだ暗闇の中にいる」と語るが、極度に強い光を浴びた者こその闇なのかもしれない。

 (文藝春秋 1600円+税)


【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状