「下町ロケットゴースト」池井戸潤著

公開日: 更新日:

 佃航平が率いる佃製作所のもとに、主要取引先のヤマタニから新型エンジン契約を白紙撤回するとの連絡が入るところから物語が始まる。

 新社長は農機具のエンジンは「動けばいい」と考えており、佃製作所のエンジンを一部高級機向けに限定したいというのだ。対策に乗りだす航平だったが、頼りにしている経理の殿村の父親が倒れ、殿村は一時実家に戻ることに。

 そんな状況に追い打ちをかけるように、帝国重工の宇宙開発事業部門が縮小されるという話が耳に入る。ロケットエンジンのバルブシステムを納入していた佃製作所にとって、それはさらなる窮地を意味した。果たして、航平は起死回生策を打ち出せるのか……。

 大人気の「下町ロケット」シリーズの最新刊。トランスミッションへの挑戦によって経営の危機を乗り越えようとする航平が、ベンチャー企業と手を組む方針を打ち出す中、経営者としての判断が問われる難しい局面も描かれる。第3作となる本書を原作としたTVドラマが10月に放送されるほか、秋には続編「下町ロケット ヤタガラス」も発刊予定。

 立て続けに楽しみたくなること必至だ。

(小学館 1500円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性