「燃える波」村山由佳著

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 三崎帆奈美は、衣食住全般を心地よくコーディネートするライフスタイリスト。ファッション誌などのスタイリングの他、女性誌にエッセーを書いたり、ラジオのパーソナリティーを務めるなどマルチに活躍している。しかし42歳という、女であることにしがみつくばかりでは痛いけれど、女を捨ててしまいたくもない微妙な年齢だ。10年連れ添ってきた夫とも最近溝が深まっている。そんな折に出会ったカメラマンの澤田は、偶然にも中学の同級生だった。気弱な少年からたくましい男に変貌した澤田に、心を動かされる帆奈美。その淡い心をたき付けるかのように、夫が浮気相手を妊娠させたことが発覚する。

 身の置きどころのなくなった帆奈美は、取材で澤田と一緒にヨーロッパに行くことに。澤田を身近に感じながらも、裏切りと恋情という相反する感情に揺れる帆奈美は、ある決意をする……。

「ダブル・ファンタジー」以降、大胆な恋愛描写で男女の間の深淵を鋭く突いてきた著者が、結婚という桎梏から抜け出す女性の鮮やかな軌跡を描いた問題作。

 (中央公論新社 1600円+税)

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