「病理学講義」仲野徹著
「病理学」を広辞苑で引くと「疾病を分類・記載し、その性状を究め、病因および成り立ち方を研究する学問」とある。紀元前5世紀のギリシャでは「病気は体液の異常によって生じる」と考えられ、それが2000年近く信じられて、血液を抜く瀉血という治療法が行われてきた。
だが、弱っているときに血を抜いたら病状が悪化するのは当たり前。近代的な意味での病理学は19世紀のプロイセンの医師、ウィルヒョウに始まる。ウィルヒョウは、病気の原因を探るために行う解剖(剖検)の方法を開発したのだ。彼の時代には17世紀に発明された顕微鏡で細胞や組織を観察することしかできなかった。
大阪大学医学部の人気講義を書籍化。
(晶文社 1850円+税)