「フタバスズキリュウ もうひとつの物語」佐藤たまき著

公開日: 更新日:

 50年前に発見された首長竜の化石。長く検証が行われてこなかったこの化石に息吹を与え、女性科学者賞を受賞した著者の自伝。新種記載に至るまでの経緯が興味深い。(ブックマン社 1700円+税)

■日本一有名な某生物の名付け親

 某生物の図鑑が大好きで、リカちゃん人形の代わりにそのフィギュアで遊んでいた少女が、時を経て学者となった。本書は、某生物マニアの女の子が運命に導かれるようにしてその研究対象と出合い、日本一有名になった某生物の名づけ親になるまでの自伝。

 得意の文系科目で点を稼いで大学では「その生物」学者のいる理学部地学科に進学し、研究会やインフォーマルな勉強会に参加。本格的に勉強するために米国やカナダに留学して、研究に没頭するもののポスドク問題などに悩まされる。そして自身の興味を追求するなかで出会った人々に助けられながら、この分野において重要な意味を持つ論文を発表するに至り、研究者として大きなターニングポイントを迎える様子が描かれている。

 先人たちの努力のバトンを確実に受け取って、さらに研究を深めていく様子が興味深い。著者が名付けたその生物の発見者との対談や、論文の共著者となった研究者との鼎談も収録されている。マニアな道を究める同志はもちろん、研究者という仕事に興味がある人にもおすすめしたい。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 4

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  5. 5

    狭まる維新包囲網…関西で「国保逃れ」追及の動き加速、年明けには永田町にも飛び火確実

  1. 6

    和久田麻由子アナNHK退職で桑子真帆アナ一強体制確立! 「フリー化」封印し局内で出世街道爆走へ

  2. 7

    松田聖子は「45周年」でも露出激減のナゾと現在地 26日にオールナイトニッポンGOLD出演で注目

  3. 8

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  4. 9

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 10

    実業家でタレントの宮崎麗果に脱税報道 妻と“成り金アピール”元EXILEの黒木啓司の現在と今後